EV(電気自動車)タクシーの導入に注目が集まっています。
今年の4月、熊本県のおしろタクシー(菊陽町)が保有する全車両を日産自動車のEV「リーフ」に切り替えたと発表し、ニュースにもなりました。
全社的にEVを導入したタクシー会社は全国で2社目、わが国での全国的な普及はこれからといったところです。
EVタクシーとは
ガソリンで走行する自動車に対し、EVは電気モーターで走行するため、温室効果ガスを排出しないという環境面のメリットがあります。
また静かで振動も少なく乗り心地が良いため、EVタクシーの導入は高齢化が進むドライバーの安全運転や負担軽減という面でも着目されています。
一方で、電気自動車はガソリン車に比べると頻繁な充電が必要です。1回の充電時間は20~30分程度と、5分程度で給油が済むガソリン車に比べて時間もかかります
このようなデメリットがから、2018年になってもEVタクシーの導入はそれほど進んでいないのが現状です。
海外のEVタクシー事情
海外に目を向けると、イギリスのロンドンでは「ブラックキャブ」の愛称で知られるロンドン・タクシーをはじめとして、2018年からロンドン市内を走るタクシーが環境に優しい車両に限定されるという法律が施行されています。
お隣の中国では、世界都市として知られる深センがタクシーの7割、バスの大半をEV化しています。
一方の日本では2011年からEVタクシーが導入されてはいますが、イギリスや中国に比べるとまだまだ普及率が低いと言わざるを得ません。
EVはタクシーに向かない?
EVタクシーを導入したタクシー会社の体験談などを調べてみると、良いことばかりではないようです。
そもそもEVには次のようなデメリットがあり、タクシーには向いていないのではないかという声も挙がっています。
・航続距離に制約がある
・充電に時間がかかる
・充電施設が少ない
街中に充電施設が増えているとは言え、それでもガソリンスタンドと比べれば普及率が高いとは言えません。LPG(液体ガス)車に比べると航続距離が短いため、流しの走行や長距離の運転が必要なタクシーへの導入は難しいと考えられます。
さらにエアコンを使用しながらの走行は電力が消費され、走行距離が一気に落ちるので、夏場や冬場の走行には難があります。
もちろんここ数年でEVのデメリットは改善されているでしょうが、タクシーという事業形態との相性を考えると、まだまだEVタクシーの大幅な普及は見込めないのかもしれませんね。